声なき言葉に打ちのめされるほど辛い事があるだろうか。君が求めたものが目の前にある。いや、既に手中に収めたのだ。でも手に入れられない。鋼のような殻にこもった宝は、君の願いを嘲笑うかのように、指を、爪を、全身を蝕んでゆく。財宝が詰まっていても、開かなければ宝箱もただの漬物石。渾身の叫びとともに力を込める。叫ぶ君の口の他に開くものはなかった。それでも諦めない、その無垢な挑戦心。「果」てなき戦いに、微笑む女神が、地に顔を出す「穂」のように現れることを願って。
私は君を果穂と名付けた。
素材提供 :ニコほ・とりにてさん
投稿者コメント:涼姫彼方